食品表示法 栄養成分表示 計算・作成ガイド

栄養成分表示の計算、
手作業でやり続ける必要はありません。

包装販売・ネット販売をするパン・菓子製造業者には、食品表示法に基づく栄養成分表示の義務があります。 このページでは、義務の範囲・5項目の計算方法・ラベル形式を解説し、 原価計算女王での自動化方法をご紹介します。

包装されたパン袋の正面クローズアップ。食品表示法に基づく栄養成分表示ラベルが貼られており、エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目が記載されている

まず確認:栄養成分表示は義務ですか?

販売形態によって義務か任意かが変わります

左側に袋詰めされた包装パン(ラベル貼付)、右側に店頭で対面販売されているトレー並びのパンを対比した写真。包装販売は栄養成分表示義務あり、対面販売は任意の違いを視覚的に示す
義務(表示必須)

以下に該当する場合は表示が必要

  • 包装に入れてラベルを貼って販売する
  • ネット通販・カタログ販売をする
  • 他の店舗・施設へ卸す(包装状態で)
  • 製造委託品として出荷する
任意(表示は自由)

以下の場合は義務対象外

  • 店頭で対面販売し、その場で包装する(小規模免除)
  • 容器・包装なしで量り売りをする
  • 消費者が容器を持参して購入する
  • 製造から直接消費者へ手渡し販売する
⚠️ 「小規模事業者の免除」は条件が細かく定められており、また販売チャネルを拡大すると義務対象になります。包装販売・ネット販売を予定している場合は、早めに対応を準備することをおすすめします。

食品表示ラベルの形式と必須5項目

食品表示基準に定められた表示形式と、各栄養素の役割を説明します

実際の市販パンの食品表示ラベル全体写真。栄養成分表示欄にエネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量が記載されており、原材料名・アレルゲン表示も確認できる
栄養成分表示(例)
1袋(85g)当たり
エネルギー238 kcal
たんぱく質8.2 g
脂質4.1 g
炭水化物42.3 g
食塩相当量0.8 g
ピンク行が食品表示基準の義務5項目。
数値は例示です。実際の計算値を使用してください。
義務
エネルギー(kcal)
たんぱく質・脂質・炭水化物・有機酸・アルコールなどから算出。八訂ではATPACE係数を使用した計算に変更されています。
義務
たんぱく質(g)
各原材料のたんぱく質量(g/100g)×使用量から算出。
義務
脂質(g)
各原材料の脂質量から算出。バターや油脂類の多いパンでは数値が高くなります。
義務
炭水化物(g)
糖質と食物繊維の合計。食品表示では原則として一括表示。
義務
食塩相当量(g)
ナトリウム量(mg)× 2.54 ÷ 1000 で換算。食塩使用量とは異なる点に注意。
任意
その他(飽和脂肪酸・食物繊維・糖質など)
任意表示。推奨される栄養素もありますが、義務ではありません。

栄養成分表示の計算手順

手作業の場合と、原価計算女王を使った場合を並べて説明します

ベーカリーの作業台に食パンのレシピ配合表が広げられており、強力粉・バター・砂糖・塩・イーストなどの原材料が計量カップや秤とともに並んでいる。栄養計算の出発点となるレシピと原材料の全体イメージ
1

レシピの原材料と使用量(g)を確定する

計算の基準となるレシピを確定します。仕込み量・焼成後の重量など、どの状態を「製品」とするかを決めてください。

手作業の場合 レシピをExcel等に転記し、原材料ごとの使用量(g)を記録する。
原価計算女王の場合 ソフトにレシピを直接登録。原価計算と同時に管理できる。
2

各原材料の栄養成分値を取得する

原材料ごとに「100g当たりの栄養成分値」を取得します。使用するのは文科省の「日本食品標準成分表(八訂)」が基本です。

手作業の場合 文科省サイトまたはExcel版成分表で原材料を一つずつ検索し、エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の値を手でコピー・転記する。原材料が多いほど時間がかかる。
原価計算女王の場合 八訂成分表を内蔵。原材料名をリストから選択するだけで5項目の数値が自動入力される。転記作業・転記ミスがゼロになる。
3

使用量ベースで各栄養素の合計を計算する

各原材料の「100g当たりの栄養成分値」に「実際の使用量(g)」をかけて100で割り、原材料ごとの栄養素量を算出。それを全原材料で合計します。

各原材料の栄養素量 = 成分表の値(per 100g) × 使用量(g) ÷ 100
製品全体の栄養素量 = Σ(各原材料の栄養素量)
手作業の場合 原材料ごとにこの計算をExcelで行い、5項目それぞれを合計する。原材料が20〜30品目あると相当な計算量になる。
原価計算女王の場合 使用量(g)を入力すれば自動で計算・合計される。計算式を組む作業が不要。
4

製品1食分(または100g)当たりに換算する

食品表示ラベルには「製品全体」または「1食分当たり」の栄養成分値を記載します。製品重量と表示単位に合わせて換算します。

表示値 = 製品全体の栄養素量 × 表示単位重量(g) ÷ 製品全重量(g)
手作業の場合 換算式を別途作成し、計算する。1食当たりと100g当たりの両方が必要な場合は二重に作業が発生する。
原価計算女王の場合 製品重量と表示単位を設定すれば換算値が自動計算される。
5

食品表示ラベルの形式で出力する

計算した数値を、食品表示基準に定められた書式(「栄養成分表示」の見出し、5項目の順序)でラベルに記載します。

手作業の場合 計算した数値をデザインソフトやWordに転記し、ラベルを作成する。数値変更のたびに再作業が必要。
原価計算女王の場合 食品表示法に則った栄養成分表示を出力するページを標準装備。レシピを変更すると表示値も自動更新される。

義務5項目の計算根拠と注意点

各栄養素の計算方法と、パン製造で注意すべきポイントです

様々な種類のパンが並んだベーカリーの陳列棚。食パン・クロワッサン・全粒粉パン・ライ麦パン・惣菜パンなど10種類以上が並んでおり、それぞれ栄養成分が異なることを示すイメージ
栄養素 計算の考え方 パン製造で注意すべき点
エネルギー義務 八訂ではたんぱく質・脂質・炭水化物の各係数(ATPACE)を用いて算出。七訂と方法が変わっているため注意。 焼成による水分蒸発(焼減り)があるため、焼成後の重量ベースで計算する必要がある。
たんぱく質義務 各原材料のたんぱく質量(g/100g)×使用量÷100を合算。 卵・乳・大豆由来原材料が多いパンはたんぱく質量が高くなりやすい。アレルギー表示とも連動して管理するのが効率的。
脂質義務 各原材料の脂質量を合算。バター・ショートニング・卵等を多く使う製品は高値になる。 油脂類の使用量が多いパン(クロワッサン・デニッシュ等)は特に確認が必要。
炭水化物義務 糖質と食物繊維の合計。食品表示上は「炭水化物」として一括表示が基本。 全粒粉・ライ麦等を使用すると食物繊維量が増えるが、炭水化物総量として表示する。糖質を別途表示したい場合は任意表示として追加可能。
食塩相当量義務 ナトリウム量(mg)× 2.54 ÷ 1000(g換算)。食塩の直接投入量とは異なる値になる。 食塩を直接添加する場合でも、原材料(バター等)に含まれるナトリウムを合算する必要がある。原材料由来のナトリウムを見落とさないこと。
飽和脂肪酸任意 脂質の内訳。バター・ラードを多く使う製品では推奨表示。 八訂では飽和脂肪酸データの収録が充実しているため、計算が容易になった。
食物繊維任意 炭水化物の内訳。全粒粉・ライ麦・ふすまパン等を訴求する場合は表示すると差別化になる。 「高食物繊維」等の強調表示を行う場合は、別途基準値の確認が必要。

よくある質問

栄養成分表示の計算・作成でよくいただくご質問です

ベーカリーのオーナーが事務机で保健所から入手した食品表示に関する資料を確認している様子。食品表示法に基づく栄養成分表示の実務対応を検討している場面
焼成後の重量と焼成前の仕込み量、どちらで計算しますか?
食品表示の栄養成分計算は、消費者が食べる状態(=販売する状態)の製品重量を基準に行います。パンの場合、焼成後の重量が基準となります。焼成による水分蒸発(焼減り)を考慮した上で100g当たりまたは1食当たりの数値を算出してください。
食塩相当量はレシピに書いてある食塩の量と違うのですか?
はい、異なります。食塩相当量は「全原材料に含まれるナトリウム量の合計」をナトリウム→食塩に換算した値です。バターや乳製品・加工品など、食塩を含む原材料のナトリウムもすべて加算する必要があります。単純にレシピの食塩添加量では計算できません。
栄養成分表示の数値は分析値(実測値)でないといけませんか?
食品表示基準上、計算値(食品成分表に基づく算出値)でも表示は可能です。実測値が望ましいケースもありますが、一般的なベーカリーでは食品成分表を使った計算値で対応しているケースがほとんどです。不明な点は最寄りの保健所にご確認ください。
原価計算女王で出力した数値は食品表示に使えますか?
原価計算女王は八訂食品成分表のデータをもとに栄養成分を計算します。計算値としての使用は可能ですが、最終的な食品表示の責任は事業者にあります。重要な製品については保健所への確認や専門家への相談を合わせてご検討ください。
レシピを変更したら栄養成分表示も作り直しが必要ですか?
原則として、原材料の配合が変わった場合は栄養成分表示も更新する必要があります。原価計算女王では、レシピを変更すると自動的に栄養成分の計算値も更新されるため、再計算・再転記の手間が不要です。

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